意識暴走―insomnia―3

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 真の姿は、闇に消えてしまった。  ◇  そこは、何もない、ただ真っ白な空間だった。  一度、訪れた事のあるその場所には、ある男の存在があった。  堀の深い顔立ちに、金髪で、透き通るような青い眼をした男は、その外見に似つかわしくない名を紹介してみせた。 「どうも、山下真くん。案外、来るのが早かったですね? 私はあのまま、ただ眠ってくれるものと思ってましたよ。そうしたら、ここに来ることもなく、目を覚ました時には、世界は終わっていたのに」  顔に似合わず、流暢な日本語を話す男、如月。  この場所は、彼の心の中だと言う。つまりは、何もない真っ白な心。全てを白紙に帰すことが、男の目的だ。 「でも、君がここに来た時点で、世界はまた、黒い文字に包まれていますよ」 「お前を殺せば、全部終わるのか?」 「終わる? 何がですか? 世界を壊してるのは、君自身なんですよ? 私を殺したとしても、世界は君が終わらせるのです」  どうして、こうなってしまったのか。  自分がいつの間にか、世界を滅ぼす存在になっている。  自覚はなく、ただ、自分の中に潜む何かが暴走している。 「計画の第二段階も、すぐに完了しそうです。そしたら、第三段階頑張ってくださいね?」     
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