意識暴走―insomnia―3

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 男の言う計画の第一段階は、自分の文字化けの能力の暴走。第二段階は、全ての文字の消去。そして、第三段階は、人の心への侵入。  人の中に存在する文字を全て消して、世界を白紙にしたいのだそうだ。  しかし、それは自分ではなく、他人である真に、全てをやらせようとしている。 「全部俺のせいにすんなよ……」 「……? 私はただ、自分ではできないから、君にやってもらわないといけないだけですよ?」 「自分の手を汚したくないんだろ……? だから、こんなにも心が真っ白なんだ」  身の潔白を示すように、この部屋の全てのものが真っ白だった、と真は思った。  それに対して、如月は眉をひそめた。 「私が自らの手を汚してない……ですか? では、古井新の乗った飛行機を墜落させたのは一体、誰?」 「お前は全てを操ってただけだ。人を利用するのは、得意か? 人を丸め込むのは、上手か? お前はただ、他人より優位でいたいだけなんだ」  何十人もの心の中を見て、救ってきた。  目の前の男も、その中の一人であることに変わりはなく、彼の心を暴こうと試みるが、如月は平然とした態度で言葉を返す。 「この部屋を見ただけで、私の全てを知った気でいるんですかね? でも、何をしようと、もう遅いですよ。世界は君がここに来たおかげで、終わる。完全に」     
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