秘密の本屋

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秘密の本屋

 秘密の本屋。  学校で噂になっているそれを、本気で信じているわけではなかった。  でも、よくわからない噂に縋ろうかと考える程度には少女は追い詰められていた。  ダメで元々。万が一本当に願いを叶えてもらえるなら、それに越した事はなかった。  その本屋の奥の棚は、法律の専門書だった。そのおカタさとオマジナイがミスマッチだ。  人がいないことを確認すると、素早く棚の下に手をかけた。 「開けて、開いて」  気のない素振りをしながら必死に聞いていたオマジナイの言葉を早口で唱える。 「知識の扉」  言い切ると、ぐっと力を込めて引き出しを開けた。  思ったよりも簡単に開いたそこには、真っ暗な闇が広がっていた。  そこから白い手が伸び、少女の腕を引っ張る。引きずり込む。 「わっ」  すべては一瞬で、引き出しは元の位置に戻った。
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