秘密の本屋

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「商業デビューの有無だけで本を選ぶのはつまらないよ。商業ものでも壁に投げつけたくなるぐらいつまらない本ってあるだろう?」 「それは、まぁ……」 「その反対もあるさ。能力はあるが趣味だけでやっていきたいと思う人もいる。そうじゃなくても、ここにあるどの本も文章力や構成力は劣るとしても、そこに込められた情熱は一般流通しているものには負けない」 「情熱?」 「仕事でもないのにわざわざ書こうと、書きたいと思ったものだよ。そこに込められた想いは並大抵のものじゃない。一般では売れないようなニッチなものもあるしね」 「はぁ……」  確かにそれは書店には並んでないだろうけど、なんかイメージと違うなぁ……。少女がひっそりと落胆していると、 「込められた熱が高いからこそ、願いを叶えてくれるんだよ」  青年は本題を口にした。  少女の目が、驚愕で大きく見開かれる。 「そのために、来たんだろ?」 「……はい」  青年は笑うと、 「さて、君の願いを聞こうか」
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