取材

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弓削田達と別れ、家の前に着いた時には二十一時を過ぎ。インターホンを鳴らそうとする二十代位の男性がいた。 『どなたですか?』恐る恐る声をかけた。 『あ! 突然すいません。今、地元のスーパー高校生の発掘って記事を書いてます、広文社の記者の斎藤仁です』名刺も渡してきた。 『君が藤山大地くん?』 『はい......え、俺記事に載るんすか?』頷く斎藤。 『ミュージカル出演依頼から芸能事務所、有名合唱団までオファーがあるって噂を聞いてね』 『どこから情報を?』俺は驚いて尋ねた。 『内緒。それが仕事だからね』鼻高々と喋る斎藤。 『飛躍真っ最中の君を記事にしたい。五分程時間ある?』 『はい。いいですよ』俺は立て続けに起こ嬉しい出来事に笑顔二つ返事した。 『早速だけど、大地君は野望はある?』 『えっと、自分の歌声で人々の心に良い影響を与えられるビッグなアーティストになりたい……です!』 『ふむふむ』頷きながらメモする斎藤。 『今の目標はある?』 『目標は高校最後の合唱大会で何としても優勝したい。エースとして優勝に導きたい』 『青春だねーー』メモを取る斎藤。 『じゃあ最後に。藤山くんにとって歌うこととは?』 『人生の全てです。僕から歌を取ったら何にも残りませんから。えっと……ノーシングノーライフですかね、あはは』 愛想笑いが滲み出てる斎藤を気にせず、笑い誤魔化した。今から笑顔の練習の為にと思い。 パシャッと一枚。年季が入った一眼レフで俺の顔を撮る斎藤。 『ありがとう。取材は以上。出来上がりをお楽しみに! 期待の新星君』手を振り車に乗り込み急発進する斎藤。
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