魚の骨

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『なにーー? 彼女でもできた? もしかして雫ちゃんとか?』 『違うよ! バンドのことだけど、大手事務所のオータムとの契約とメジャーデビューが決まりました!』満面の笑みで母に伝えた。 『えっ! ゴホッゴホッゴホッゴホッ』喉にホッケの身が詰まり、胸を叩く唯。涙目になりなる母。 『うそーー! 本当に!? 活躍中の芸能人がいるオータム?』 深く頷く俺。 『すごぉおい! 良かったわね! 大地の夢が一つ叶ったのね……』 『うん!』 俺の返事を聞く前に、嬉し涙をする唯。 『CD沢山買って近所に宣伝してあげる。早速一番にサイン貰っとこうかしら』 『あはは。まだ先だから気が早いよ』 『そうよね。大地の夢叶ってお母さん嬉しくて……』 喜んでくれる母を見て照れるのごまかすため再び箸を進めた。 『痛っ』喉に激痛が走った。 『大丈夫?』 『魚の骨が引っかかったぽい』 喉を触ると、違和感があった。鏡で見たが骨はなさそうだった。 『明朝も、喉に違和感あれば病院に行きなさいね。大事な喉なんだから』 ヒリヒリする喉を摩りながら返事をした。
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