のどかな一日

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私は、29歳の独身女 都心でもなく、田舎でもない街の 商店街にある本屋の店員。 あえて言うことでもないかもしれなが、彼氏もいない。 さらに、あえて言うと 私は、契約社員だ。 社員と言うネーミングがついているが 実質アルバイトと待遇も、手取りの給料も ほとんど変わらない。 なのに 今は、 店長だ。 今というのは、唯一の正社員だった店長が 倒れてしまい入院しているからだ。 売れないのに、中途半端な広さがあるから 店長1人では足りず私と土日限定のアルバイトくんたちがいる。 少し前までは、漫画や雑誌は多少売れていたのに スマホ、タブレット、パソコンが 三種の神器のように、当たり前の世の中になり 漫画も雑誌もネットで見る若者が増えて 現在の状況となった。 そんな状況にもかかわらず 以前と変わらず本が盗まれる。 いわゆる万引きだ。 この数は、今も昔も変わらない。 やる方は、もしかしたら さほど罪悪感がなくやっているのかもしれないが 本屋にとって、万引きはとてもキツイ。 一般の方は、わからないだろうが 本屋で一冊盗まれるのは、オオゴトである。 たった一冊盗まれただけで 物によっては10冊、少なくても5冊も売らなければ元を取れず赤字となるのだ 仮に、1日5冊盗まれたら25冊~50冊も売らなければならない。 自慢ではないけど、 そんなの、うちの本屋では無理だ。 だが、冷酷にも その悪夢が現実に起こってしまった。
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