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もっとショッキングな嘘としては、こういうものがある。
「○○中(近所にある公立中学)でこの前いじめで人が死んだ。体育館のマットにぐるぐる巻きにされて殺されたって。あんたは運動神経悪くて絶対いじめられるけん、○○中には行かんほうがいい。勉強して私立入りなさい」
これは相当、印象に残っている。○○中は怖いとこだと心底思った。これがすべてのきっかけだったわけではないが、僕は受験勉強をして、結果的に進学校として著名な私立中学校へと入った。
最近気になって調べてみたところ、ちょうど母がこの嘘をついたかも知れないぐらいの時期に、山形の中学でいわゆるマット死事件と呼ばれるいじめ殺人が起きていた。おそらく、母はニュースだかで聞いたこの事件を流用して僕に嘘をついたんだと思われる。母が言う通り地元の中学で本当にいじめ殺人が起きていたならば、当然山形の事件と同等のレベルで知れ渡っているだろうし、そうなった記憶もなければ記録もどこにも残っていないことから考えても、母が嘘をついていたのは明確だろう。
そういうわけで、母は僕を私立中学に行かせたいがために、こんな凄まじい嘘をついたのだ。なぜ母が僕を私立に行かせたかったのか。まあこれがすべてではないだろうが、母の口癖は「弁護士とか医者になって稼いで母さんに楽させてね」だった、ということを記しておく。
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