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ああ、何度目だろう。この劇を見るのは。
今回は試しに観客席から見ることにしてみたがどうだろうか。
男はステージ脇にあるめくりを見やる。
『3年A組 オリジナル劇』
「プログラム17番。3年A組によるオリジナル劇です。どうぞ」
司会の声が会場に響き渡ると、ステージは照明が落ち、幕が上がる。
そして、スタンバイしていた主人公にライトが当たり、劇が始まった。
いつも通りの始まり。何度も見てきた。変わりはない。
しかし、まだここはゲームでいうチュートリアル。
重要なのはラストだ。
そして、数十分後、物語は佳境に入った。
ステージ上には主人公とヒロインがいた。主人公はナイフを持ってヒロインに馬乗りになっていた。
迫真の演技に観客も固唾を飲んで見守っている。
そして、主人公とヒロインがいくつかの台詞を交わし、最後にその持っていたナイフをヒロインの胸に思い切り突き刺し、それと同時に暗転する。
男はギュッとこぶしを握り締める。このシーンは何度見ても心臓の高鳴りを抑えることはできない。
幕が下り、拍手喝采が沸き起こる。
そして、司会がこう締めくくった。
「3年A組の皆さんありがとうございました。いやー迫真の演技でしたね。最後のシーンなんて本当に刺しているかと思っちゃいました。
ではでは、次のプログラムです」
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