: 二次会の前に :

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  「月子、  藤森主任、来るんだよね? 」 ッ! ……恥ずかしいけど、その名前を聞くだけで、私の心拍は上がる。 藤森将一(ふじもりまさかず)。 私の好きな人だ。 「うん、来る予定。  披露宴に出席した課長と部長は帰ったけど、反対に二次会だけ参加する男性が、会社で4人いるの。その中に入ってるよ」 この二次会が終わったら二人で抜けようと、藤森主任から一週間前、ラインにメッセージがあった。 その後、変更の連絡はないから、あの話は生きてるんだと思う。 「なに? ツッキー、藤森主任って? 」 「え? えっと会社の先輩って言うか、由美の上司って言うか…」 「アコさん、月子さんが慕っている男性ですよ」 「なっ! 」 …というか、望ちゃんとアコ、いつの間にそんなに仲良く? 「慕うって、いつの時代よ。  なんかそれじゃ月子の片想いみたいじゃない。  藤森主任の方が月子に夢中よ。  付き合うのも、もう時間の問題でしょ」 育子の冷静な分析が、かえって恥ずかしい。 「へぇ、ツッキー、いい感じなんだ。  ひょっとして、二次会終わったあと、二人で会うとか? 」 ッ! なんで、アコ……。 そうだ、この子は昔から鋭かった。 「あははっ、ツッキー、図星って顔してるっ」 「月子さん、いよいよですね」 「やだ、もう…! 」 「でも、今夜は何もないでしょ。  由美のパーティーだしね」 え? 育子、それはどういう…? 人様の祝いの席で、自分の恋の発展を期待するのは不謹慎、とか? でも、そうだとしたら、披露宴のときとうって代わって、化粧を直して二次会に臨んでる育子の行動と矛盾してる。 育子、珍しく気合い入ってるよね? それに、私が藤森主任と約束してるのは、二次会が終わったあとの話だし…。
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