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◇
「月子、受付?
でも、ここ眩しくない?
てか、なんで一人なの? 」
会社の同期の副島育子が受付にやってきた。
私の状況を見て、眉間にシワを寄せている。
「一度、場所変えてもらったんだけど、太陽に追い掛けられちゃって。
2回お願いするの恥ずかしいから、このままでいいの」
4月で屋内という設定を甘く見て、下地にUVをつけてこなかった。
顔だけでも影に入るよう、後ろにのけ反るようにしながら、もう一つの質問に答える。
「受付が一人の理由は知らない。
親しい人たちだけで、お客さまの数が少な目だから、かな?
新郎側もお一人だし」
28にもなると、友人の結婚式も披露宴も慣れたもので。
慣れた者同士、
前々回と同じワンピースだねとか、
2着で回してるのねとか、
気付いても、つっこまない。
今、記帳している育子のメイクが前回より薄くても、
友人の結婚式に夢も見れなくなったよね…なんて口にしない。
お互い箝口令。
「月子、由美とは2人で会ったの? 」
「うん。
式の前に新婦控え室に行ったから」
「なんか言われた? 」
「へ?
緊張してきたって言ってたかな。
でも、式では堂々としてたよね」
「そうね。
新郎は緊張してる感じだったけど…」
新婦の小山田由美と
私、神代月子は幼馴染みだ。
お互いの実家が近所で、同い年。
幼稚園から大学、就職先まで一緒という、
生まれてこのかた離れるキッカケを与えてもらえなかった、そんな関係だ。
だから今回の結婚披露宴は、
ワンピースの着回し頻度は聞かれなくても、
いつの間にか箝口令が解けて、
私の事情に飛び火してしまうような、そんな嫌な予感がした。
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