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育子は記帳を済ませると、小声で
「ストーカーに先越された気分はどうですか」
と私に耳打ちした。
「その言い方…」
すると、育子の次に記帳していた会社の後輩の峰岸望ちゃんが、こちらも小声で呟いた。
「でもこれで由美さん、寿退社ですよね?
もう月子さんにまとわりつかないんじゃないですか? 」
「別にまとわりついては……」
……いたか。
由美は本当に私から離れていくのだろうか。
実感がわかない。
育子と望ちゃんが受付を離れると、新郎側の受付をしている男性に
「さっきの二人、会社の人でしょ?
他人のふりで良かった? 」
と小声で聞かれた。
その男性と私は、大学の同級生でサークル仲間だった。
「小山田って会社でも神代にベッタリだったんだ」
「うーん、ちょっとね」
ちなみに名前は吉田享くん。
彼はその頃の縁で、今、新郎側の受付をしている。
つまり私は、新郎の知人でもあった。
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