: 受付 1st :

3/6

1443人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
  育子は記帳を済ませると、小声で 「ストーカーに先越された気分はどうですか」 と私に耳打ちした。 「その言い方…」 すると、育子の次に記帳していた会社の後輩の峰岸望(みねぎしのぞみ)ちゃんが、こちらも小声で呟いた。 「でもこれで由美さん、寿退社ですよね?  もう月子さんにまとわりつかないんじゃないですか? 」 「別にまとわりついては……」 ……いたか。 由美は本当に私から離れていくのだろうか。 実感がわかない。 育子と望ちゃんが受付を離れると、新郎側の受付をしている男性に 「さっきの二人、会社の人でしょ?  他人のふりで良かった? 」 と小声で聞かれた。 その男性と私は、大学の同級生でサークル仲間だった。 「小山田って会社でも神代にベッタリだったんだ」 「うーん、ちょっとね」 ちなみに名前は吉田享(よしだとおる)くん。 彼はその頃の縁で、今、新郎側の受付をしている。 つまり私は、新郎の知人でもあった。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1443人が本棚に入れています
本棚に追加