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「でも、なんで立ち飲み屋でお酒なんか飲んだんでしょう? 」
「え? あぁ…。
前祝いだって言って入ったけど、俺には『シラフで神代に会えない』って言ってたよ。
そのときは、交際に持ち込むのがそんなに恥ずかしいのかって思ったけど……。
今思えば罪悪感だったんだな」
「そっちなんだ……」
「ん? 他に何がある? 」
「え? いや……。
あ、そうだ!
育子からのライン見て、由美が何か仕掛けてくるってわかってたんですよね?
それなのにお酒飲んじゃって」
「それも含めてシラフじゃいられなかったんだろ。
藤森は泰然とした雰囲気があるけど、結構、気が小さいんだよ。
……クソッ、だったらそんなことすんじゃねぇよっ。
ぁっ。すまない、また……」
口を滑らせては、その口を押さえ、目を泳がす佐伯主任に、なぜか情のようなものが込み上げてきた。
だって、こんな佐伯主任、見たことがない。
いつも私の小さなミスを、そこまで言うか、というほどからかい、
成果は褒めてくれるけど、
『上司に恵まれたと思え』
と必ず付け加える。
他の部下にそんなことを言うの、聞いたことないし、
由美の言葉を借りれば、佐伯主任は社内では “優しい” 人で通っている。
なんだろう。今、隣にいる佐伯主任は。
その綺麗な顔立ちでアタフタされると……。
普段の反動でイジメたくなる。
って、やり方、わかんないけど。
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