: OOPARTS :

6/7
前へ
/57ページ
次へ
  「でも、なんで立ち飲み屋でお酒なんか飲んだんでしょう? 」 「え? あぁ…。  前祝いだって言って入ったけど、俺には『シラフで神代に会えない』って言ってたよ。  そのときは、交際に持ち込むのがそんなに恥ずかしいのかって思ったけど……。  今思えば罪悪感だったんだな」 「そっちなんだ……」 「ん? 他に何がある? 」 「え? いや……。  あ、そうだ!  育子からのライン見て、由美が何か仕掛けてくるってわかってたんですよね?  それなのにお酒飲んじゃって」 「それも含めてシラフじゃいられなかったんだろ。  藤森は泰然とした雰囲気があるけど、結構、気が小さいんだよ。  ……クソッ、だったらそんなことすんじゃねぇよっ。  ぁっ。すまない、また……」 口を滑らせては、その口を押さえ、目を泳がす佐伯主任に、なぜか情のようなものが込み上げてきた。 だって、こんな佐伯主任、見たことがない。 いつも私の小さなミスを、そこまで言うか、というほどからかい、 成果は褒めてくれるけど、 『上司に恵まれたと思え』 と必ず付け加える。 他の部下にそんなことを言うの、聞いたことないし、 由美の言葉を借りれば、佐伯主任は社内では “優しい” 人で通っている。 なんだろう。今、隣にいる佐伯主任は。 その綺麗な顔立ちでアタフタされると……。 普段の反動でイジメたくなる。 って、やり方、わかんないけど。
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1452人が本棚に入れています
本棚に追加