1454人が本棚に入れています
本棚に追加
「アコとミコが受付に来れば、その瞬間バレると思うけど、とりあえずは他人のふりで---
あっ! 」
「さっそく来た? 」
「ううん、また別の二人……」
“アコ”、“ミコ” とは、大学の、サークル同期のニックネームだ。
彼女たちほどではないけど賑やかな、彼女たちよりも懐かしい二人組が、手をブンブン振りながら小走りでこちらにやって来た。
「きゃー、月ちゃーん。
由美、綺麗だったんねぇ。
あのドレスで披露宴も出るん?
あっ、月ちゃんって披露宴でどの席座んの? 友人席?
それとも会社の同僚席? 」
「違うよ、見てごらん。
おじちゃん、おばちゃんも来てる。
あっ、お兄さんも。
ぇえっ、あのお兄さんのそばにいる女の子って妹の陽子ちゃん?
大きくなったねー! 大人じゃん。
じゃあ、家族と一緒の席なん? 」
この二人は、一人は小中、一人は中高と一緒だった同級生で、
新幹線で1時間半、タクシーや在来線も含めると3時間近く掛け、
群馬の川場村から、ここ東京 新宿まで来てくれた。
新婦にとってありがたい友人。
私の両親と兄妹も来てるけど、
1、2本違う新幹線だったらしい。
「お色直しは一度の予定だよ。
式で着ていたドレスのまま、まずは入場するって。
えーっと、で、私の席は家族と一緒。
親族みたいなものだから、後ろの方にいるよ」
ちなみに8歳下の妹は今春短大を卒業し、地元の信金に勤めているので、大人と言っていいと思う。
最初のコメントを投稿しよう!