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進行の声に合わせ会場の扉が開くと、そこに新郎新婦が登場した。
スポットライトがあるわけではないのに、
初夏のきらめきを全て集めている二人に、「ぅわぁ」というため息が漏れる。
アコは式でもうっとりさせられたけど、腕を組み歩き始める二人に、またうっとりした。
「でも私……、由美の二次会で月子をおんぶしたときの新郎、きちんと見てなかったんだよね」
アコの言葉にミコが目を丸くする。
「ウソ…!
この3人も由美の二次会にいたから、あのおんぶ、見てるよ。
月子が超絶イケメンに連れてかれたって騒いだじゃん」
あのときアコは、月子が思いを寄せてるという “藤森主任” を探すのに夢中で、佐伯智久のことを見てなかった。
アコがあのあと月子と連絡を取ったとき、
月子から、藤森とは結局うまく行かなかったことを聞いた。
理由を尋ねると、健太郎に引き続き、藤森も由美の毒牙に掛かったことを遠回しに言われた。
そのときアコは、ガコーンと頭に何か打ち込まれたかのような衝撃を覚えた。
月子が可哀想なのと、
理由を聞いたことで、また月子を傷付けてしまったと、深く後悔したのだ。
まさかその衝撃の裏で、
月子が新しい恋を始めていたなんて、アコは全く気付かなかった。
アコは新郎新婦を見ながら、
『後悔して損した』
と思ったけど、
月子の幸せそうな顔を見て、本当に良かったと泣きそうになった。
そう言えば、あの “藤森主任” はどうしたんだろう。
アコは席次表をもう一度確認したが、名前は見付からなかった。
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