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◇
「冷めちゃったのでチンしましょうか」
「ごめん……」
結局、さっきの抱擁はそれに留まらず、最後までになってしまった。
しかも、ベッドにも行けなかった。
ダイニングからじわじわ移動し、縺れるように倒れこんだのは、リビングのソファで。
こんなソファの使い方をしたのは初めてだ。
「謝らないで下さい。
電子レンジもソファも、私たちの味方ですから」
?
あれ、何言ってるのかな。私。
智久さんがきょとんとした顔をする。
「……ブブッ!」
「あー、また笑いましたね!
フン」
私が料理を温め直している間に、智久さんがビールとグラスの用意をしてくれた。
二人の新しい日常のスタートに乾杯する。
こうしてまた忘れられない日
(新しいソファの使い方を知った日? )
が増えていくのかな。
地獄を見たような2年前のあの日の記憶。
失ったものもあったけど、
そのお陰で智久さんの思いに気づけた。
あれほど、インパクト大の日にはそうそう巡り会えないと思うけど…。
これからは、智久さんと二人で、忘れられない日を積み重ねていけたら、と思う。
~受付狂想曲~ fin ~
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