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裏口から出てきたらしい若いシェフが、紙袋を携えて、鷹月の元へ走り寄る。
頬を染め溢れる笑顔、見上げるように話す表情で、あれが鷹月の恋人だと悟った。
「なんだよ…えらく可愛らしいの捕まえてんだ。」
その時は気付いてなかったが、俺は二人が羨ましかったんだと思う。
紙袋を受け取り、くしゃりと髪をかき混ぜてから、鷹月はこちらに戻って来た。
助手席のウィンドウ越しに、シェフと目が合った気がして、小さく頭を下げた。
向こうも会釈してきたのを見ると、やはりこちらを見ていたようだ。
いたずら心が芽生え、助手席から降り立ち、鷹月を迎えに行った。背中に手を添えて耳元に顔を寄せて話す。
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