小暮マルコス洋太

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反射的に両手で受けとり、サラリーマンが染み付いている事に笑みがもれた。 まだ、社会人復帰出来そうだ。 渡されたそれは、どこかのバーのカードで、木目のベースに焼き印のように文字が印刷された、センスの良いものだった。 店名と電話番号、裏には地図と住所が書かれている。 「今夜、晩飯の後、皆でそこに行くからさ。  ミツも戻ってくるなら、こっち寄ってけよ。  キューピーにも紹介しときたいしな。」 キューピー?紹介したいって、それは、人か? 「分かりました。  行くなら連絡した方がいいですか?」 「いや、そのまま来てくれればいいよ。  じゃ、気を付けてな!」 誰かに送り出される事に、まだ慣れない。 むず痒い気持ちになりながら、これまた慣れない台詞で答えた。 「行ってきます。」
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