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大笑いする俺に、「俺変なこと言ったか?」と不思議そうに首を傾げ、自然と笑いは伝染する。
一頻り笑いあった後、笑いすぎて攣る腹を押さえ、涙を浮かべながら呼吸を整えた。
目が合うと、申し合わせたように、小気味良い音を立ててグラスを鳴らし、一気に飲み干した。
「何?二人だけで楽しんじゃって!」
ボトルを手にして戻って来たのは、薫さんだ。
空になった俺達のグラスに酒を注ぎ、周りを巻き込んで乾杯のパレードが始まる。
いたるところで、グラスの重なる音が響き、カウンターを囲んで話に花が咲く。
酔いが回るにつれ、俺の言葉もラフなものへ変わって行き、それだけで、また皆との距離が縮んだような気持ちになっていた。
自覚の無いまま酒に呑まれ、誰よりも先に酔い潰れた俺は、笑いながらカウンターに突っ伏し、眠ってしまったらしい。
翌日になって、小池君に背負われて帰った事を知った。
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