隠し通せない人

5/10
611人が本棚に入れています
本棚に追加
/492ページ
再びベッドに沈んだ後は、吸い込まれるように眠りに落ちて行って、次に目覚めた時には、昼も過ぎていた。 重ダルかった頭も、フラフラだった身体も、スッキリとまではいかないものの、大分良くなっていた。 水を取りに下に降りて、静まり返った室内を見渡す。 圭さんと薫さんは、出掛けるって言ってた。 鉄平君は、ゼミの仲間と共同製作があるとか、なんとか…。 悠真は、練習って言ってたし。 「今は、俺だけか…。」 今まで当たり前だった、一人の空間をもて余している。 「腹へったな。  何か食いに行くかな。」 誰に、と言うことはなく、声に出していた。
/492ページ

最初のコメントを投稿しよう!