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二人を取り巻く空気が重くなりかけた時、悠真が口を開いた。
「俺ね、思うんだけど…。
ミツくんは、正直に生きてきただけだ。
気持ちのいい事は、皆好きだろ?」
慰めとは違う、ただ、俺という存在を否定せずに、良いとも悪いとも言わず、事実として受け止めてくれた。
「ありがとう。」
自然に口をついて出た言葉は、消えそうな程小さく、静まり返った部屋に響いた。
ほどなくして、車のヘッドライトがリビングの窓を照らし、圭さんと薫さんが戻って来た事を告げた。
散らかったままのテーブルを片付けながら、
「さぁ、騒がしくなるよ!」
そう言って悠真は悪戯っぽく笑い、「だな。」と相槌を打って、俺も笑った。
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