山咲圭介という男

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30分後とは、急だな…と思いながら、久々のスーツに袖を通す。 不思議と気持ちが引き締まる。 少し伸びた髪を耳の後ろに撫で付けた。 財布とスマホだけポケットに入れて、圭さんの待つリビングへ向かった。 「お待たせしました。」 「おっ、やっぱり似合うね。  よし、行くか?」 圭さんの運転するベンツで、高速に乗りひた走る。 都内を抜け、さらに走る。 どこへ向かっているのか訊ねても、教えてはもらえなくて、座り心地の良いシートと滑らかな震動に、いつの間にか瞼が落ちていた。
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