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しかし、以前のように餌を釣る必要はなくなった。泳げる様になり自分で餌をとってきているようで、相手をするくらいなら楽だった。
そんな時、つい好奇心が芽生えた。
イルカに乗れるのだろうか?
考えてみればよく本ではイルカに乗っている少年がいるではないか。
問題はどう乗るかだ、立ち乗り?跨ぐか?高レベル過ぎる。
大人しく背びれに捕まることにした。本の少年とはかけ離れた姿だ。
その瞬間イルカは大海原へ駆け出した。
人間とは段違いに早いイルカ、あの白い輝きが遠くなっていく。
水の抵抗とイルカのツヤツヤの肌で手が離れる、落ちる、深い。
慣れない深さに溺れる、沈んでいく。こんな海の真ん中で死ぬのか俺は?
海の底から太陽を見上げていると、太陽が近づいてくる。
違う、俺が上がっているのか。
「キュイ!」
イルカが俺を持ち上げてくれた、いつも通りの可愛らしい顔をしていた。
息が吸えるようになった頃、俺はイルカに抱き着いていた。
「ありがとう。」
「ピー!」
こいつ頭良いな。
なんて思いながら次はあの白い砂浜に向かって背びれを掴む。
同じスピードで戻っていく、ものすごい速さで砂浜が近づいてくる。
白い砂浜に戻って一息ついたころには、今日はもう陽も傾いていた。
結局びしょ濡れで戻ったので心配されたが、特に何もなく終わった。
本の少年が凄いということを認識した後、ベッドに沈んだ。
月はすっかり消えていた。
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