これからの思い出

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目を開けると、私はまた先ほどとは別の場所にいた。 今度は夕焼けに染められたグラウンドの隅で体育座りをしていた。 視線の先で、男女がペアになり、何組かが輪を作る形でオクラホマミキサーを踊っていた。 先ほどまで賑わいを見せていた屋台は全て片づけられ、寂しさが漂う中で、陽気な音楽がグラウンド中に響いており、その噛み合わない雰囲気がなんとなく可笑しかった。 「今日はずっとぼーっとしてるな」 顔を横に向けると、彼自身も眠そうな顔をして、孝明さんが微笑んでいた。 どこにいても当たり前のように隣にいてくれる彼がなんだか嬉しくて、私も同じように微笑んだ。 「次が最後になります。まだ参加されていない皆様、もう一度参加したい方々、どなた様もぜひご参加ください」 キィン、というハウリングの音とともに、平坦な声でアナウンスがなされた。 「行くか?」 彼は少しだけ首を傾げて私に尋ねた。 けれど、手を差し出さないのを見ると、私の答えはわかっているようだった。 「ううん、行かない。ここで見てる」 私はそう言って、彼の肩にもたれた。彼も同じようにして、私の頭に自分自身の頭をあずけた。 日が落ちたせいか、少し肌寒くなってきた空気の中、触れあっているところがじんわりと温かかった。
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