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ーー数日後。
職場の喫煙所は今日も盛況だ。
「ホイ。タバコ。」
空いたスペースを見つけると、先客のシュウがタバコを差し出してきた。
「ん?なんで?」
何か下心があるに違いない、と俺はシュウの顔を覗き込む。
「なんだ、もう忘れたのか?
今日はダイチの誕生日だろ。」
「ああ、そう言えば、そんな話してたな。サンキュ。」
手を挙げて軽く礼を言って、差し出されたタバコを一本拝借する。
「いくつになったんだっけ?」
「おいおい、同級生だろシュウ?24歳だよ。」
「そうか……。
24になっちまったか。」
シュウは遠い目をしながら言った。
「ああ、もうオッサンだよな。」
俺もつられて郷愁にかられる。
小学校の運動会でシュウと順位を争った徒競走。
同じ女子に思いを寄せた中学時代。
別々に進学した俺たちが、再び顔をあわせたサッカー県大会予選。
浪人した俺は、現役合格のシュウを羨んだが、
シュウは留年したから卒業年度は結局同じ。
シュウとは腐れ縁だが悪くない人生だった。
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