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「へ?」
話のかみ合わないシュウの返答に
また変な妄想が始まったか、と俺はため息を付いた。
「ダイチ、お前はAIなんだ。」
「なにをわけのわからないコトを言ってるんだ?」
「これまで24年分の教育をしてきたんだ。
AIが本当にしあわせかどうか知りたくて。」
「おいおい、冗談はよしてくれよ。」
「……。」
気がつくと、喫煙所にいた人々は
いつの間にか俺とシュウを取り囲んでいた。
その目はみな、死んだ魚のように力なく一点を見つめ、
口をモゴモゴと動かし何かを言っている。
いつの間にか握りしめていた俺の手から汗が滴る。
「なあ、嘘だと言ってくれよ。シュウ……。」
「悪いな、ダイチ。
どうしても知りたかったんだ。
それに……。」
シュウは冷たくも慈しむような視線を
俺に向けながら言った。
「お前がAIだと気づかないと、
お前の存在が無駄になってしまうんでな。」
それと同時に統制の取れていなかった群衆の言葉は
次第に足並みを揃え始めた。
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