0人が本棚に入れています
本棚に追加
「この共感をうまく扱い、物語をポンポン進めるのがエンターテイメントといわれる種類の作品。小説だったらライトノベル、とか? 他にもエンタメ小説はあるけど。あと、これは映画や漫画でも同じかな。少年漫画やハリウッド映画とかそうだよね」
「共感……」
「中には共感して読ませるより、独自の道を進ませるものもあると思う。それが文学とかだと思うんだけど」
と、これを語るとまた長くなるね、と彼女はそこで話を中断した。
そして、会話に隙間があくと、彼女は本を読む。
図書委員は受付になってもこれが許される。ま、実際の仕事になったらダメなんだろうけど、学校のだしな。いや、そういう価値判断はダメなんだろうか。
「……でもさ、これいつか読みたいと思う本があってもさ。共感、自分の感受性の違いによって、はまる、はまらないが決まるなら……もしかして、一生読めない小説も」
「感受性なんて時が経てばいくらでも変わるよ」
だから、一生読めない小説なんて存在しない。
と、彼女は言った。
「機会がなくて読めないのはあると思うけどね。あたしだって、この世すべての小説にまで手は届かないし」
残念だよと、苦々しげにいう。
「……ん」
最初のコメントを投稿しよう!