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「それでは、今年の文化祭2年3組の出し物はお化け屋敷に決定しましたあ!」
黒板の前で学級委員長の菊坂君が叫ぶ。
わーとかひゃーとか、奇声を上げて喜ぶクラスメイトども。
最悪だ……
あたしは我が校の歴代校長の顔写真を展示して一挙紹介ってやつを提案したのに。
それだったら、校長室に飾ってある額縁のやつ借りてくればいいだけから、楽なのに。
投票の結果35対2で負けた。
お化け屋敷とか、半端なく準備大変じゃん!
なんだか皆、ポカリスエットのコマーシャルにでも影響されてんの?…よくわかんないけどさ。
「コンセプトは恋が叶うお化け屋敷とかどう?男女で入ると恋が実るとか」
飛島まさとが菊坂君に代わって主導権を握る。まさとは文化祭実行委員。つまり諸悪の根源ということ。
「わー、いい!岩ちゃんと入りたいなー」
「私は祐也!」
女子どもが黄色い声で騒ぎ出す。…何が岩ちゃんだ、何が祐也だ、妄想もいい加減にしろ。
「じゃあ、大道具とか小物用意する係、お化けに扮する人、決めよう。交代で何人かいる。あと、お化けのメイクに自信あるやついる?」
実はまさととあたしは幼稚園からの幼なじみ。
まさとって中学まではボケーとしてて、地味な存在だったのに、高校入ってから、急にしっかり者になった。
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