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空が青い。
雲は白い。
あたしは、いやなやつだ。
1人じゃ何も出来ないくせに。
屋上に続くこの階段の踊り場は、大きな窓に面していて、陽当たりが良く眺めがいい。めったに人も来ないから、私のお気に入り。
「やあ。みーほ」
階段の下から、まさとが現れた。
学校では幼なじみなこと隠してて、苗字で呼び合うけど、誰もいないとこでは下の名前で呼んだりする。
「名前のこと…知らなかった、ごめんな」
「別に」
まさとの心配そうな顔。
そんな目で見ないでよ。
「斎藤美穂か、いいじゃん」
「いくねーよ」
あたしはそっぽを向いた。
まさとが階段に座る私の横に腰を下ろした。
「…しんどいのか?」
名前変わると、実感するね。
親の離婚が。出張多かったから、うちのお父さん。いないのは慣れてたけど。お母さん、ずっと泣いてる。仕事も休んでてタバコばっか吸ってる。
「まあね…」
「元気出せよ…」
あたしの顔を覗き込む。
まさとの目ってこんなに優しかったんだ。でも、今のあたしは素直なれない。
膝を抱えて顔を埋め、まさとから逃げる。
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