静かな人々

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ジュンは賢い子だった。先生の質問だってわからないことはほとんどなかった。 ただ。 極度に内向的なのだ。 「はいはいはーい」 「せんせー、せんせー!」 「わかったー!!」 生徒たちの手のひらが風になびく草々のように一斉に揺れる。 手を上げなくちゃ。 口を開かなくちゃ。 そう思うだけで心臓が痛いくらいに跳ね、汗まで吹き出してくる。 言うべきことはわかっているのに。 言葉はもう、喉の奥のすぐそこまで上がってきているのに。 大声を上げて手を伸ばして、でも指名されて答えてみるととんちんかんな答えに笑いが飛んで、また次の子の手が上がる……そんなバトルにはどうしても参加する勇気が出なかったのだ。 「あんたはわかっているんだから、ちゃんと発言しなさい。こちらでは何も言わないと、何も考えてないヤツだと思われるのよ」 何度も聞いた母親のため息交じりの叱咤が、もう101回目くらいに頭の中で響いた。
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