静かな人々

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*** その日帰宅すると、母親は夜の集まりに行くからと留守だった。 作りおきのシチューを食べ、自室に行ってベッドにころがってジョーの顔を思い出すとなんだか胸のあたりが暖かくなる。 10歳近くも年上の人とあんなにいろんな話をしたのは初めてだ。 (あれ、そういえば私、気後れもせずにいろいろ話せたな……) 相手はほとんど初対面に近い人だったのに。 次に気が付くと朝だった。どうやらあのまま寝落ちしてしまったらしい。 さすがに違う服に着替え、投げ出してあった鞄を手にして思い出した。 ああ、通知表を見せなければ。 階段を下りる足取りが重くなる。 私にはあのお兄さんみたいに、内向的である違いやさらにはメリットなんか、とてもうまく説明はできない。 そう思うとジュンはうなだれた。
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