2人が本棚に入れています
本棚に追加「約束、一時じゃなかったっけ」
「そうなんだけど、早く家出たくてさあ。タチバナ書店の方がオレんちよりぜってー涼しいからちょっとでも早く行って涼みたいんだよね」
「ああ、そっか。ケンちゃんちエアコン壊れてるんだっけ」
そういえばこの間ケンちゃんの家に行った時、玄関も廊下も台所もトイレも皆むわっとしていて蒸し暑くて、ケンちゃんの部屋も扇風機すら置いてなかったから、二人してだっくだくに汗をかきながらテレビゲームをして遊んだんだった。だから早く来たのか。
かき氷が食べられなくなった原因を作ったケンちゃんに対してさっきまではちょっと腹が立っていたけど、一日中エアコンつけっぱの涼しい部屋で勉強ができてゲームも遊べている僕んちと比べるとちょっと可哀想な気がしてきて、気が付いたらイライラもどこかに消えていた。
「あ。じゃあさ、教材買ってきたらそのまま僕んちで一緒に自由研究やらない?」
「えっ、いいの?」
「だって、せっかく今日一緒に本買いにいくんだし、宿題も一緒にやった方が
分かんない所とかあったらすぐ聞けるし相談できるじゃん」
言ってから、僕の隣に突っ立っている婆ちゃんに一応『いいよね?』と聞いてみる。
「もちろん。母さんには婆ちゃんから話しておくよ」
僕とケンちゃんが話している間中、婆ちゃんは横でずっとニコニコしていた。
奥の部屋にも引っ込まないし、かといって話に加わってくるわけでもないから何だろうと思っていたけど、とりあえず僕らの話は聞こえていたみたい。

最初のコメントを投稿しよう!