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少し頼り過ぎているのかも知れない。
もう少し負荷を分散させてあげないと……
そんな自省モードに浸りつつあったオレに、エース本人から指示が飛ぶ。
「部長、そこのクーラーボックスにお茶のペットボトルが入っています。並んでくれてるお客様にお配りしてください」
「え、そんなの用意してくれてたの? いつの間に?」
「周辺の企業さんからの協賛金で手配しました。熱中症対策です。あとこれ、首に巻いててください」
「なにこれ。バンダナ?」
「それも協賛企業さんからの頂き物です。その中の特殊高分子ポリマーに水を含ませると、気化熱作用で首周りの熱を発散させてくれるそうです」
「おぉ、なんだかハイテクだね。でも、オレじゃなくて、まずは炭火七輪を担当してくれてる君が巻いておくべきなんじゃない、これ?」
「……ダメです。この繁忙期に部長に倒れられるわけにはいきません」
「あ、二個入ってるよ。濡らしてくるね」
まだ何か言い募ろうとする神崎さんを遮って、クーラーボックスへ向かう。
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