雨が止んだら

2/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 「最悪だ……」  私は大粒の雨が落ちてきた空を見上げて呟いた。  最近、うまくいかないことばかりだ。仕事も、彼氏に振られたことも。そして朝、部屋を出るとき傘を忘れたことも!  「うー……」  空を睨んでてもしょうがない。  とりあえず逃げ込んだアーケード商店街をとぼとぼ歩く。  だいたい、就職してからずっと退屈な毎日の繰り返し。朝仕事に行って、帰ったらだらだら過ごして、休日は寝てばかり。ああ、つまらない。  できれば雨が止んでから帰りたい。そう思いながら歩いていたら、一軒のお店が目についた。  小さいお店だけれど、やたら大判の本がずらっと並んでいる。  「絵本、かな」  なんだか雨の外と違って暖かそうな感じがした。ちょっと入ってみよう。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!