雨が止んだら

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 店員さんは言った。  「独特のタッチでしょう。それもあって、生前は一部の人たちを除いてまるで評価されなかったんです。それどころか公の場で馬鹿にされるようなこともあったみたいで……」  店員さんの表情が少し苦いものになったけれど、すぐに言葉を継いだ。  「でも、今はこうやってたくさんの人に認められた。それは良かったと私は思います。」  店員さんは続けた。  「―――でもですね、実際の所、みんながみんなその感性をちゃんと捉えられているのかっていうと、そうじゃないのかなって、私はそういう気がしてて。独特なんですよね。なんでだろうって、ずっと思ってたんですけど……」  なんだか店員さんは、自分自身に向かって喋っているみたいだった。でも、私はそれを自分の事のように聞いていた。  「彼をテーマにした展覧会に行った時に、一番最後、確か挿絵作家さんだったと思うんですけど、その作品を見た時に腑に落ちました。物語があるんです、向こう側に……こう、世界が広がっているんです。そこにその世界があるんです。」
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