私とうさぎさん

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学校が終わり家へ帰る。部活は放送部に入っているが、基本放課後の活動はない。 自分の部屋へ着くと制服のままクローゼットの前に立ち、扉に右手を当てる。 「認証されました」 クローゼットを開けて暗い中へ入り扉を閉めると、服とか物ばかりの狭い場所のはずが、一気にパッと明るくなり、不思議な世界へ入り込む。ここが“本の世界”と言うところだ。“本の世界”は大量の本があり、ちゃんと住人もいる世界。 「いらっしゃい、智佳さん!ぼく、もっと早く智佳さんに会いたかったですよ!」と跳ねながらエプロンを付けたピンクのうさぎが出迎えてくれた。 「久しぶり、うさぎさん! やっとテストが終わったからここに来れたよ……待っててくれてありがとう」 「お疲れ様です。僕はこの本屋さんの就職試験ぐらいしかテストは受けてないんですよ」 これを聞くと『うさぎさんは楽でいいよね』って思う人もいるかもしれないが、この本屋さんの就職試験は“地球”で言う東大に合格するより難しい。
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