Kさんの話

4/6
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
 いつもは、朝、薄いカーテン越しに陽光が差し込むまで、ぐっすりと眠るKさんなのだが、どうしたわけか夜中に目が覚めた。  目の前に、女の人がいた。  抱き枕というオチではなく。  ええ、抱き枕はさすがに持っていませんね。申し訳有りませんが。   悲しそうな目をしていました。  この状況で、まずそんな感想を持ってしまうKさんは、本当に危機意識に欠けていると思うのだが、 「気がついたら、意識をなくしてしまって、朝でした」  念入りに戸締りをして、普通に出勤したそうだ。 「想像を絶する体験をした時というのは、かえってルーティンにこだわってしまうものかもしれません」  その日は、これまた念入りに残業に打ち込んでから帰ったそうだ。  そして、夜中に女性と対面しては、気を失ってを三日三晩は繰り返したという。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!