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和かな表情のまま目を開ける。あぁ、やっぱり、ライトは私を照らしている。
春香は発表者の言葉を聞くまでもなく答えを確信した。
「選ばれたのは……」
ライトの照らすほうに全員の視線が集まっていた。
それを恥ずかしくも心地よく、受け入れていたのだ。
次の言葉を聞くまでは。
「前田さん!
……生徒会長前田沙耶さんです!!」
「……え?」
スポットライトは、隣に立つ生徒会長を照らしていたのだ。
そして、彼女はそれを最初からわかっていたように、自然に笑顔で、一言。
「皆さん、ありがとうございます」
途端に春香は恥ずかしくなっていった。
それもそうだ、なんせ選ばれるのは自分だと思っていた。そんな発言も堂々として…選ばれたのは、生徒会長だったのだ。
スポットライトを浴び、拍手を浴び、笑顔の彼女は隣に立つ春香にだけ、彼女にだけ聞こえる声で話しかけた。
「…勘違いしていたでしょう。馬鹿ね、私は初めからこのつもりで生徒会長になったのよ。」
「え、沙耶ちゃん…」
「いつでも、なんでも、自分が選ばれるなんて思わないで」
「……!」
そう言った彼女の目は春香を射殺すような冷たさで、その意味を瞬時に理解したのだ。
「まさ、か」
「勇輝、ステージに上がることオッケーしたんだよね?じゃあ、あがってもらおっか。ね。」
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