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花火が散る、その瞬間は
「勇輝。」
「なんで、前田が…」
「なんで?……なんでだと思う?」
彼は答えられないだろう。
答えはわかっていた。彼女が自分を好きだったからだ。それもずっと、ずっと前から。
「隣きて。ここは誰もいない。ほら、花火始まるから」
ラストステージに選ばれた者が指名する相手に拒否権はなかった。
そう決めたのは生徒会長である、彼女自身だからだ。
彼女は最初からこの瞬間の為に、それだけのために生徒会長となったのだ。
「…馬鹿ね、あんたも、春香ちゃんも。自分たち中心でいつでも世界回ってると思い込んでさ」
「どうゆうつもりだよ」
「…どうもこうもない。ただの逆恨みだよ。」
「っ」
「ずっとずっと勇輝が好きだった。春香ちゃんだって、それ知って応援してくれてたのにさ。
なんか、急に裏切ってあんたと付き合いだすしさ…」
そう、だから逆恨みだと自覚はしているのだ。
それでも許せない、認められない。
「たった3年、3年一緒にいたくらいで。
こっちはもう、10年は好きだってのに…この10年の、気持ちはどこいっちゃうわけ?」
「……」
「別にいいんだ。私のこと嫌いでも。
最後にするよ、花火が終わったら。」
花火は10発。
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