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それが終わるときが、彼女の恋が終わるとき。
「だからこの瞬間だけは私だけを想って。
むかつくとか、うざいとか、嫌いとか、なんだっていいよ。なんだっていい……だから花火が散る瞬間、この一瞬だけは私を想って。お願い」
1発目の花火が散る
彼はそれを受け入れたのか、渋々隣に座ると…花火を見つめていた。
2発目の花火が散る
彼女は目を閉じて考えていた。
何度も何度もバレンタインを渡したこと
3発目
小さい頃から彼に会いたくて、同じ習い事をはじめたこと
4発目
小学生の頃ズルをしてでも、彼と同じ役職を選ぼうとしていたこと
5発目
中学生になってから気まずくなって、話せなくなって、誕生日の手紙も渡せないまま捨てたこと
6発目
ずっと応援しててくれた春香の口から、付き合いだしたと聞いた日のこと
7発目
そんな彼の横顔は、初めて見た、恋する男の子の顔だったこと
8発目
出会った日のこと
9発目
結局まともな告白なんて一度もできなかったこと
10発目
「……ぁっ…」
この瞬間に後悔する。
一度でも言えばよかったのに。
結果がわかっていたとしても。
でももう終わり。終わり。
「え…?」
目に映ったのは11発目。
そして…
「生徒会より5発の追加です!」
会場に響くアナウンス。
「ぁ……はっ……えぇ?」
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