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友人達が春香が選ばれると信じて疑わないのも納得できるだろう。
「投票は今日、先生達によって行われるから……結果、楽しみだね。」
「…ありがとね」
ありがとね。その一言で確信する。
春香もまた、自分が選ばれると信じているのだ。
「…彼氏にも伝えときなよ、ステージに上がる可能性があるってさ!ほら、彼氏…あんまりそうゆうの得意じゃないでしょ?」
「…そうだね、うん…伝えとくね」
春香の幸せオーラは一瞬、揺らめいて2人の間に確かな距離を感じる。
だけどそれに気づく人間はいなかった。2人だけが知る心の距離。
生徒会長と選ばれるべきヒロイン。
なにも知らない人間にはそのまま世界が回るのだ。
「じゃ、私行くね」
「うん、忙しいのに呼び止めてごめんね」
「ううん、みんな高校最後の文化祭楽しんでね」
あるべき生徒会長の姿を守ってその場を離れる。
彼女の表情は変わらない。例え春香が、自分の好きな相手と付き合っていようと、もう傷ついたりは、しないのだ。
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