第六章  咲姫と “魔笛”

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 無礼な男を睨んでいるビジネス鮫が、怒りに燃えて眼を光らせる様子に花音は焦りを感じた。  無視されたり、見下される事なんて、立木の家に居た頃は日常茶飯事だった。(別に傷つきもしない)  それよりも指輪を侮辱した男の身の方が、よっぽど心配だった。  隆仁も不快そうだが、何時もは温厚で紳士の隆房の眼が、隆仁よりも激しく光っているのが見える。  妻の形見を年若い坊やに侮辱されて、物凄く怒っている。(流石、親子だ)反応がそっくりの二人を、ハラハラして見ていた。
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