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「まさかな……」
家に帰って来ると、俺はスマートフォンで恐る恐る、LIKEのIDを打ち込んで検索をかける。
すると、似たようなIDがズラッと表示されていたが、もしかして……、と思い、ある一つのIDにメッセージを送ってみる。
「こんばんは。ルリさんのIDで合ってますか?」
よし。これだったら間違ったとしても、失礼はないだろう。でも、考えると俺、異性にLIKEを送るの、初めてだな。
不慣れながらもよくできた。と、機械音痴な俺を褒めたが、可笑しいなぁ。不思議と自分を褒めているなんて。
――ピコンッ……
「あっ」
そわそわしていると、即座に通知が来たので慌てて開いて読み返す。
「あってるよー!」
そこには猫がマグカップの中に入って「おつかれさま」と書かれた可愛いスタンプと共に、メッセージが送り込まれてきた。
「ふっ」
可愛さのあまり、思わず吹き出しそうになるが、すかさず「お疲れ様」と返してみる。
――ピコンッ!
「実はですね……」
すると、今度はチンパンジーみたいな顔をした上司の話や、誰が社内恋愛をしているだとか、よくある噂話をし始めた。
俺にとっては頭の片隅にも残らない程のくだらない話題だったが、この時は何故か、画面を見て笑う程二人で盛り上がっていた。
でも、異性との初めてのやり取りが、こんな青春じみている事を思い出すと、かなり照れてしまうが、全てはここから始まったんだ。
俺と彼女との関係が……。
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