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「ふぁぁ……」
寝不足から来ている眠気を堪えながらも、例の『秘密の場所』へと着くと、案の定ルリは何かを探していた。なので、意を決して聞いてみる。
「あっ……」
『あのさ!』
「って、えっ!?」
すると、彼女も何かを言いたかった様で、俺が言ったと同時に声が重なってしまった。
うわぁー。
かなり恥ずかしくなってしまった俺は咄嗟に視線を逸らすが、彼女はマスク越しで口元を両手で覆いながら目を右往左往させている。
「あっ、えっと……」
「ル、ルリちゃん! その、い、言いたい事があるならさ、ささ、先に言っていいから!」
「う、うん。でも、ここで言うと、その……」
「え? どうゆう事?」
「その、私……。すいません! やっぱり詳しくはLIKEでお伝えします!」
「あっ! ルリちゃん!」
しかし。彼女は困惑した表情を浮かべながらそう言って軽くおじぎをすると、慌てて紐を引っ張って冷凍庫から出て行ってしまった。
「何だ……」
あんな意味有り気な言葉を言われたら、気になるに決まってるだろ!
俺は突然の事で、思わず心の中で声を発してしまった。
でも、今夜、彼女から話すと約束をしてくれたので、一旦現場に戻って仕事をしながら返事を待つことにした。
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