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「……ヒカルさん」
「ん?」
「どうしたんですか? 突然黙ってしまって……」
「あ。いや。別に……」
ふと、思い耽っていたせいか、受話口越しから心配されてしまった。
「変なの!」
「……変じゃねーし!」
「はは……」
なので、照れを隠すかの様につっけんどに言い返すが、彼女は未だに元気がない。
「でも私、ヒカルさんと話してると、とっても楽しいです! 元気が出るし……」
「そうか? まぁ。俺でよければその、相談にものってやるからさ。な」
「あ、ありがとう」
「だからよ、あまり一人で抱え込むなよ。な」
「う、うん……」
俺は彼女が元気になる様、懸命に励ましていたが、電話越しからはか細い声が聞こえてくるばかりだ。
「じゃあ、おやすみな」
「あっ。その、ありがとうございました。では、おやすみなさい!」
――プー……プー……。
「ふぅ……」
電話を切った後、天井に取り付けられているペンダントライトの照明をぼんやりと眺め、一つため息をつく。
本当にこれで彼女は救われたのか?
どうなんだ? 俺。
そして、心の中で自問自答を繰り返す。
「あー! くそっ!」
やり場のない気持ちに押しつぶされそうになっていた俺は、部屋で一人、汚い言葉を吐いていた。
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