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新緑が綺麗で、外も暖かい。正にお出かけ日和の休日。
俺は過去のこともあってか、家にいたくなくて、何となく外をふらふらと出ていた。
家にいると、過去のことばかり思い出してしまい、息が苦しくなる。
その為か、休日になると、この公園に来てはぼーっとしているのだ。
――ピロロン……
ふと、黒いジーンズのポケットに入れていたスマートフォンが鳴り出した。
「もしもし」
なので、確認してみる。
「あっ……その、突然電話してしまい、すいません!」
すると、聴いたことがある様な可愛らしい女性の声が聞こえてきた。ルリからだ。
「どした?」
「えっと、ヒカルさんは今、何処にいるんですか?」
「俺? んー。近くの公園にいるけど?」
「実は、私も外に出てるんですけど、何処だろうここ……」
「外!?」
彼女が笑顔で訊いてきたので、何となく答えていたが、まさかの展開に驚く。
「あっ。はい! 気分転換にお散歩してるんです!」
「そ、そうか……」
「はい。何か、近くには葉っぱが綺麗な木が沢山生えていて、池みたいな物があります!」
「ん?」
戸惑いながらもスマートフォンを耳に付けた状態で周囲を見渡すと、彼女が言った場所とそっくりだった。
「そこって……」
俺の家の近くじゃねぇか!
その為、思わず心の中でツッコミを入れてしまったが、こんなにも偶然が重なるなんて、すげぇな。と改めて思う。
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