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「そう言えばヒカルさん……」
「ん?」
「私、まだ、ヒカルさんの事、分からないんです。今までの生い立ちとか……」
「……」
「えとその、嫌なら無理して言わなくてもいいんですけど……、私、少しでもいいから、ヒカルさんの力になりたいんです!」
「力に……なりたい?」
「はい! なので、ヒカルさんの全てを教えてくれませんか?」
「……」
すると、彼女から俺の生い立ちについてを訊ねてきたので、少し考えてからコクリと頷く。
そして、俺は近くにあった木製のベンチに腰掛け、今までの事を話すことにした。
親が離婚してからずっと、「お前は出来損ない」と罵られ、出来のいい兄と比べられては暴力、暴言と言う痛みを受けてきた事。
そのせいか、小学2年生から15歳までの7年間の記憶が綺麗に抜けている事。あとは、自分の体には沢山のコンプレックスがあって、自信が全くない事まで、ルリに全てを打ち明けた。
「だからさ、本当は体の全てに刺青を入れたいんだよね」
「そうなんですか!」
「でも、親に大反対されて、結局入れなかったんだよな。本当はやられた傷を隠したかったのによ……」
「なるほど。そうだったんだ」
彼女はというと、俺の話に耳を傾けながら優しい声で相槌を打っていたが、それが俺にとって、とても心地良い気分になる。
「……これが本当の俺だよ。ルリちゃん」
「ヒカルさん……」
全てを話し終えると、ふぅ。と溜息をつきながら下を向く。
「俺のこと、嫌になったか?」
「……」
まぁ、これを聞いて嫌になってしまったなら、もう彼女とは会わないし、諦めるつもりだった。
「そんなんで、私が嫌いになんて、なりませんよ」
「……え?」
しかし、彼女は唖然とする俺の顔をじっ。と見つめると、剣幕な表情で言いながらこう攻め寄ってきた。
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