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「今に至るまでの間、よく耐えましたよね。凄いって思います。もし、私がヒカルさんと同じ状況に遭っていたら、真っ先に親を殺していたと思います」
「……はぁ?」
「毒親はいなくなって当然です」
「お、おいおい……」
親を殺すって……。
確かに俺は親から酷い仕打ちをされてきたけど、殺そうとは1度も思わなかった。
でも、彼女が真剣な表情でハッキリとそう言ってくると、逆に清々しいっていうか……。
「それに、刺青を入れようが、入れまいが、ヒカルさんはヒカルさんなんです!」
「ルリ……」
「じゃあ、逆に聞きます。刺青って、入れたらすぐに心まで豹変してしまうモノなんですか?」
「いや。違う……」
「ですよね? 見た目だけ変わるけど、中身まで変わるって事はないですよね?」
「ま、まぁ……それは……」
俺は彼女の説得力があまりにも正論過ぎていたせいか、かなりたじろいでいた。
「あと、私がヒカルさんのこと、いいなって思ったのは、ヒカルさんの『ありのまま』の姿に惚れたからなんです!」
「惚れた……から!?」
「は。はい。その、人として……」
「人として……か」
彼女は照れくさそうに答えると、池の方へと視線を逸らし、うん。と頷く。
「それと、一つだけ、約束しようと思って……」
「一つだけ?」
「はい! 『××××××××』」
そして、彼女は笑いながらそう言うと、俺の耳元である言葉を囁いた。
「あー……。分かった」
「やったぁ!」
その意味を分かった俺は、微笑を浮かべながらもコクリと頷くと、彼女は太陽に負けないほどの眩しい笑顔で喜びの表情を見せる。
「でもさ、ルリちゃん」
「……ん?」
しかし、俺は今まで彼女の話を聞いてて、一つだけ引っかかる点があったので、この際、思いっきり聞いてみることにした。
「俺のこと、そうやって気を使ってくれるのは嬉しいんだけどさ。その、ルリちゃんは彼氏いるのに、こんなことやってて、いいのか?」
「……」
すると、彼女は黙りこくってふぅ。と吐息を漏らすと、ある言葉を口にした。
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