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「それは寝言か?おれはな、人を殺したんだぞ。一生堀暮らしの人間にお天道様は無縁だろ?それともそれは、嫌味か?」
それを聞いた少女はくすりと笑みを溢した。どういう意味を含む笑みなのか理解しかねているうちに、再び会話の主導権は少女の元へ。
「わたしも罪人だけど、いまもこうして太陽と共に生きているわ。ここの監獄はね太陽と共に生きる監獄なの。どういう意味なのか知りたい?」
「あんたが罪人だって?そんな見え透いた嘘をつくなよ。どうせこれも貴族のお遊びなんだろ?」
「本当のことよ。……確かにわたしがどんな罪を犯したのか覚えてないけれど、ここで住んでいるということは、そういうことなの。……貴方の場合、口で説明するよりも実際にに見せたほうがよさそうね」
そういって彼女は教会から出て行ってしまった。去り際の彼女の表情はどこか悲しそうで、ぼくは少々虐め過ぎたかと3秒だけ反省してから、周囲を見回した。
やはりどう見てもここは教会だった。ぼくが根城にしていた廃教会と雰囲気が似ていた。
ただ、ぼくの根城と比べ、ここには死神や悪魔の類が住み着いている様子はなく、神様を迎え入れるために、常に神々しさを維持していた。
そのせいで、酷く居心地が悪かった。
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