冥界の住人のお友達

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「そうだね。ね、ナミはどこから来たの?」 「私は……。私、学校の屋上にいて空の写真を撮ってたの。そしたら……足を滑らせて落ちたんだ」 ナミは自分の身に起きた出来事を、冷静に思い返しているようだった。 「ねぇ、ここは死後の世界なの?」 「まぁ、そうだね。でも、天国でも地獄でもないよ」 「どういう事?」 ナミは興味を持ったように僕の方に身を乗り出した。 「ここは生きたくても、病気や事故なんかで死んでしまった人がくるの」 「死者の国? あなたも死んでしまった人?」 「僕はここで生まれたから、死んでないと思う。あと、たまに帰っていく人もいるよ」 ナミは不思議そうな顔で、瞬きを繰り返した。まつ毛長いなー。 「ここで生まれたの? この世界を作った人? 神様?」 「この世界が僕を作ったんじゃない? 僕は……この世界の管理人……みたいな?」 僕自身、ここのことに詳しいわけじゃない。どう説明していいのか困っていると、ナミはそれ以上深く訊くのを諦めてくれた。 「……曖昧なんだね。ところでさ、私も帰れる?」 ナミの顔には”期待”の文字が書かれていた。望んで死んだわけじゃないなら、生きてたいよね。
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